NOVELIFE

読了した小説のささやかな記録。

『天使のナイフ』薬丸岳

だが、他人にその人間の本心などどれだけわかるというのだろう。(本文より)


わかるわけがない。本心を隠していない人間なんかいないと思う。僕だってそうだ。


だから、無関係の人間が、事件の真相を暴こうなどと、必死になる様子を見るのは好きではない。というか嫌いだ。


好奇心や興味をそそられるのはわかるんだけどね。それをペラっと人前で話す人間の想像力の無さ。偉そうにごめん。


真相なんて本人にしかわからないよ。どれだけ近しい人間でも。考え続ける。これしかない。死ぬまで。


つまりあれだね。これは、逃げ気味の人生を歩む自分への戒めになる小説であったということだね。


感想

少年法。罪と罰。贖罪。考えさせられる重々しいテーマ。読み進めながら、自分の心のベクトルはクルクルと回転。読了しても、当然のごとく固定などされない針。


でも、ただ重々しいだけではなく、読み手を優しい気持ちにもさせてくれる。そして、エンターテイメント性もかなり高く、どんどん読み進められた。ミステリ要素もしっかり。素晴らしい構成力。


時折読み返し、この小説のテーマについて考える時間を持ちたいな。