NOVELIFE

読了した小説のささやかな記録。

『テロリストのパラソル』藤原伊織

「そうさ。人間は陳腐への階段を降りていく運命にあるんだよ」(本文より)


僕はどのあたりまで降りてきただろうか。まあ、元々高い位置にいたとは思えないし、階段も緩やかだろうけど、確実に降りてきているという実感はある。


陳腐という言葉は悪い意味で使われることが多いような気がするけど、僕は嫌いではない。様々なものを通過した陳腐さはむしろ美しい。とさえ感じる。


人には様々な過去があり、それがどんなものであれ、その人の現在を形成している。そして暗い過去を持つ人も沢山いる。


そんな過去を持つ人物達の物語。藤原伊織さんの『テロリストのパラソル』



感想

物語としても良くできているのだけど、何よりも登場人物がとても魅力的。それだけで十分読み進められた。


中でも、浅井。僕は一番惹かれた。詳しくは書かないでおく。


物語としては、真っ暗でもなく、明るいわけでもない中間色。全体的に灰色な印象。人間色。好きな雰囲気だった。


そして最後は切ない。青春小説とも言えるかも知れない。


多分、大抵の人が降りていくであろう陳腐への階段。その一段一段を噛み締めながら、踏み外さないように大切に降りていきたいと思う。